尾燈去ル

生きるための記録。

出雲詣でしたら滝壺に落ちて、寝台列車で帰ってきた。

タイトルそのままな感じ。


阪急交通社 "憧れの寝台列車の旅" を利用して寝台列車の旅を計画した。
https://www.hankyu-travel.com/kokunai/train/

行先はどこでも良かったのだけれど、とりあえず、ふと寝台列車に乗ってみたくなった。
...と言っても、寝台列車自体は初体験ではない。中国で2回・ベトナムで1回寝台列車に乗った事はあるので、厳密に言えば、日本で寝台列車に乗りたかったのだ。 一応の理由もあって、日本の寝台列車は近年どんどんと廃止されているらしく、このまま日本から寝台列車が消え失せる前に、一度は乗っておきたかったっていう。
(そんな中で、サンライズエクスプレス出雲・瀬戸 は、今や国内唯一の定期運行の寝台列車だそうで。)
http://chanto.jp.net/going-out/hobby/48318/1/

プランは色々あったけれど、帰路に『サンライズ出雲』(往路は飛行機)を使う2泊3日って奴を選んだ。寝台はB寝台シングル(同じく個室のソロより少し広くて、小さなテーブルもある)で、締めて¥58,190だった。

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初期研修医として最後の勤務を終えた翌朝、早々に羽田から出雲へ飛んだ。

出雲縁結び空港なる、やや気後れしなくもない感じの名の空港から直通バスで出雲市駅に向かった。
路上の「島根」ナンバーを見ながら、「出雲」ナンバーがあれば良いのになァとぼんやり思っていた。
(あとで調べると、ご当地ナンバーとして近く交付が始まるらしい。)

レンタカーを借りて鰐淵寺と韓竈神社という、割とマニアックな場所を目指した。
ざっくりと、鰐淵寺はあの武蔵坊弁慶が青年期に修行したと云われる寺で、韓竈神社の方は、最近 「マツコ&有吉の怒り新党」で "新3大 素人には おすすめできない神社"なる物に選ばれたとかで、サブカル好き(?)(出雲大社メインカルチャーとして。)の間では話題の神社だそう。
どちらも出雲北山山地と呼ばれる、出雲大社の北を横断する山地の中にある。少し辺鄙な場所だから、路線バス或いは車で海岸の方から回り込まないと辿り着けない。


鰐淵寺本堂

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小径に入って、浮浪の瀧へ

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・・・と、旅も序盤のこの直後。足を滑らせて滝壺(と言っても、小さな)に落ちた。人生初の滝壺転落。
水から這い上がって、右側頭部から顔面に滴る鮮血に気づいた。辺りには誰も居なかった。というか、寺への来訪者自体、自分以外に無かった。

右側頭部10cm程度の挫創、意識消失なし、嘔気嘔吐なし、軽度頭痛あり。
画像検査はまぁいっかと思ったけれど、傷の方は明らかにナートする必要がありそうな感じだった。恥ずかしながらそのまま市内の病院に直行して、結局10針縫ってもらった。本当に恥ずかしい。 頭にドレープを被りながら、自分が救急外来で縫ってきた方々の気持ちに想いを巡らせた。自身も縫われた経験はあったのだけれど、ぜんぶ試合直後だったから。シラフ(?)で縫ってもらうのは、これが初めての経験だった。

翌日は、ワンカップ片手にごく普通に松江市内と出雲を矢継ぎ早に巡った。特に面白味のない、ありふれた物見遊山。但し、満身創痍の中。


国宝 松江城

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天守より宍道湖を遠望

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塩見縄手

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出雲大社 拝殿

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出雲大社 素鵞社

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出雲市駅に戻って、割子そばを食ったりしながらサンライズ出雲を待った。
PM 6:45過ぎ、待ちに待った、特急 サンライズ出雲がやって来た。

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PM 6:51、定刻通りに出雲市駅を発った。 乗客皆、暫くの間は写真を撮ったり車内を探索したりと、ソワソワとしていた。自分は自分で、個室に入ったものの、本当にそこが自分の部屋なのか不安で、何度も何度も確認していた。そうこうしている内、女性車掌が切符を切りに来て、やっとこさ個室での安住を得た。

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電気を消して車窓から流れる夜景を見ながら、ワンカップとチーズスナックをつまんでいた。NHKラジオからは、ブルックナー交響曲第9番が流れていた。中々に心地よい時間だった。

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翌朝AM 6:00前に目を覚ますと、もう湯河原の辺りにいて、まもなく東京駅に着いた。

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雑踏に紛れて、日常に帰った。