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尾燈去ル

生きるための記録。

人を傷つけることば

人を傷つけることばについて。

 

大人は子供のように、面と向かって「バカ。死ね。」とは言わない。陰口を言う。

この種の言葉の暴力は聞き流していれば良い。あからさまな悪意というのは、不躾なだけで、意外と無視していれば過ぎてしまったりする。(子供の世界のイジメと違って。)

 

寧ろ厄介なのは、無意識に面と向かって人を傷つける言葉の方だと思う。

このような言葉を吐く当人には大抵、人を傷つけている自覚がない。悪意もない。

というか、悪意のある言葉ほどは人を傷つけもしない。だから、厳密には言葉の暴力ではないのかもしれない。

でも、人の心にモヤモヤを残す。その意味で確実に人を傷つけている。

 

ある街に住み始めた頃、長くその街に住んでいると思われる人から「君、ここの人じゃないね。見た目が違う」と言われた。あんまり唐突に言われたものだから、なんと言えばいいのかわからなかった。

顔ですか?仕草ですか?自分だけにそう思ったんですか?直せますか?てか、ちょっと失礼じゃないですか?

後で、色々考えてみてイラっとした。その後、少し悲しくなった。

昔のことだから別にもうどうでもいいのだけれど、こうして一つのエピソードして忘れない程度にはモヤモヤして、心の奥底で沈殿している。

 

またこんなこともあった。

ある偉い人に初めてお会いした時、挨拶もそこそこに趣味を聞かれた。二つほど趣味を挙げると、彼は「ああ、分かった。君はこういう人だね」と性格を断定して喋った。

初対面で、まだたった5分経ったくらいである。理解出来なかったし、失礼だなと思った。

でも、自分には、彼にその様に性格を類型化させる要素が有ったのだろうとも思った。そして、考えてみるとその類型は、確かに自分を形作るものの一部ではあるように思えた。

十分条件ではないけれど、必要条件ではあるように思えた。でも、というか、だからこそやっぱりモヤモヤとした。だって、物事を断定的に語る言葉としては、十分では無かったのだから。

 

ああ 人は獣 牙も毒も棘もなく

ただ痛むだけの涙だけを持って生まれた

裸すぎる獣たちだ

 

触れようとされるだけで痛む人は 火傷してるから

通り過ぎる街の中で そんな人を見かけないか

 

中島みゆき『瞬きもせず』

 

自分は、無意識の発言で人の心にモヤモヤとした気持ちを残さないようにして、生きたい。