読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

尾燈去ル

生きるための記録。

熊野古道縦走(大雲取越・小雲取越・小辺路) <下>

那智の滝を出発して熊野本宮大社を経て(大雲取越・小雲取越)、更に熊野本宮大社から高野山を目指した(小辺路)。3日目、熊野本宮大社に到着。4日目からは小辺路高野山まで歩くつもりだったのだが、伯母子峠の残雪に古道歩きは断念せざるを得なかった…

5日目

5時50分、起床。よく眠れた。腰と肩に少し疲れが残る。

農家民宿 政所」のおじさんに記念写真を撮って頂く。ついでにおばあさんとも。

おじさんの話では、この民宿の建物は県の有形文化財になっているらしい。集落でも県の有形文化財として残るほど古い建物は少ないという。

その理由は、今のように車道が出来る昔、古道はもっと山のほうにあったのが今やその時の家々はすっかり廃墟になってしまっているそうだ(さんざん見てきた何某茶屋跡というのがその類なのだろう)。そんな中にあって、たまたまこの場所は昔の古道と新しく出来た車道が一致する場所、だから昔の家屋が残ったというお話。

なるほどな、と思うとともに昨晩登山を断念してここに泊めて頂かなければ、何も知らずに自分はこの道を通り過ぎていたのだろうな、とも思う。ほんと人間万事塞翁が馬だ(一度言ってみたかった)。

f:id:kazom:20140227101934j:plain

 

6時50分、上野地までのバスに乗る。バスの手配も宿の方がしてくれた。本当に助かった。手を振って別れる。

7時30分、五条駅行きのバスに乗り換える。8時50分、五条駅着。

JR和歌山線橋本駅へ。更に南海高野線高野山ケーブルと乗り継ぎ、10時42分漸く高野山駅に着いた。

f:id:kazom:20140227101934j:plain

 

ここからはただの観光。一々ガイドブック的説明をするも興ざめなので、例のごとく写真のみで。

真言宗総本山 金剛峰寺

f:id:kazom:20140302123200j:plain

 

金剛三昧院多宝塔

f:id:kazom:20140302123200j:plain

 

壇上伽藍 根本大塔

f:id:kazom:20140302123200j:plain

 

壇上伽藍 金堂

f:id:kazom:20140302123200j:plain

 

奥之院(御廟橋を渡ると撮影禁止。空気自体がガラッと変わる)

f:id:kazom:20140302123200j:plain

 

 この時が初めての高野山だったのだけど、その印象は「いまだに現役だな」ということだね。いろいろなお寺に行ったけど、宗教として現役感のあるお寺というのは少ないんだよね。みんながお寺にもとめているのは、庭であったり、紅葉だったり、そういう侘び寂びや歴史的な由来だったりするケースが多い。または、どれそれの仏様の表情が素晴らしいなどの美術的な興味だったり。基本的には観光という、大きなくくりの中に入れられる要素で、お寺に行く人が多い。でも、高野山は凄いことに信仰がまだ生きているんだね。

 

夢枕獏『幻想神空海』より

 

この日は、奥之院近くの「高野山ゲストハウスKokuu」に泊まった。外国によくある所謂ドミトリー。

とても快適でコスパは抜群。しかし、外国人ばかりで少し気まずく夕食は外でとることに。これがまたもやとても面白い出会いを生んだ。

入ったのは某居酒屋。「定食とか食べれますか?」と聞くと、「食べれますよ」とのこと。

しかし、いざ入ってみると地元の方ばかりで見事にカウンターに自分だけ一人客。気まずいなぁ…と思ってしばらくいると、隣で飲んでいた方が声を掛けてきた。それがなんと、金剛峰寺のお坊さんでびっくり!

へぇ~!とか、ほぉ~!とか、え~!とか、お~!とか色々なお話を2時間存分に聞けた。お酒の力もあって終始大興奮。金剛峰寺のお坊さんとこんな形でお話できるなんて、マジですごい強運!俺意外とやるなぁ。

宿に戻って一人般若湯を飲みながら必死で、お坊さんと話した内容をメモした。一期一会だなぁ。

 

6日目

7時起床。宿で朝食を取る。宿の方から今年は非常に雪が多かったという話を聞く。30cm積もったらしい。山に残雪があるわけだ。

まだバスが動いていない時間。歩いて徳川家霊台、女人堂を回って高野山を後にした。

f:id:kazom:20140227101934j:plain

 

不動坂を歩いて下った後、極楽橋駅から南海高野線九度山駅へ。旅の終わりは、真田庵と慈尊院へ。真田庵は真田昌幸・幸村幽閉の地。そして、慈尊院空海の母である玉依御前ゆかりのお寺(昨晩のお坊さんに教えてもらって知った)。

慈尊院でこの旅最後の御朱印を頂き、帰路についた。

f:id:kazom:20140227101934j:plain

 

生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く

死に死に死に死んで死の終わりに冥し

 

空海『秘蔵宝論』より

 

旅を終えて…

学生時代の旅、というか人生における旅もこれが多分最後だろうと思う(年齢と時間を考えて)。旅行はこれからもすると思うけれど、自分の中では旅と旅行は違うものだから。

旅を振り返って…序盤の孤独な旅立ちに始まり、我慢の山歩き、古道歩き断念から人の温かさに触れ、そして最後に高野山では思いもよらぬ出会いがあった。驚くほどきれいな起承転結。

予測不能さが面白い、何とも旅らしい旅になった。まるで自分がこれまでしてきた旅の総決算の様な。