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尾燈去ル

生きるための記録。

新潟から宗谷岬へ。自転車旅(4~6日目)

暖かいところでぐっすりと眠れた。

暖かいというのは、単に温度の問題だけでなくて人と過ごした雰囲気も含めて。

 

4日目

AM7:30起床。AM9:30頃まで自転車日本一周の彼と競馬談義で盛り上がる。その中で約1週間後に札幌競馬場で行われる「札幌記念を見に行こう」という思いが強まった。そこを目標に札幌を目指そう、と。

実は、それまで北海道を漠然と目指してはいたものの明確な目的地も目標もなかったのだ。ことによっては、本州最北端の「大間」で旅を終えてしまおうか、とも時々思っていた。

でも、これで目標が定まった。大間から函館に抜け、そこから札幌を目指す。もちろん本州最北端の大間へ行くのだから、北海道の最北端を目指さない道理はない。すなわち最終目的地は宗谷岬。長い行程。でも、行ける気がする。

 

別れ。あっさりとした別れ。

余韻に浸りながらペダルを漕ぐ。20km, 30km漕ぐと、昨夜の行きずりの仲間たちとの楽しい思い出が少しづつ薄らいでいくことを感じる。でも、不思議と寂しくはない。それが心地よい。

全く別々の人生を歩んできた人間たちが、示し合わせたわけでもなくたまたま、とある田舎の道の駅で同じ一夜を過ごす。そしてまた散り散りになって、それぞれの人生を歩いて行く…なんか良い。

 

八郎潟干拓地の大潟村の方へ少し寄り道。

広大な干拓地に数キロにわたって平らに真っ直ぐに伸びる一本道。ツーリリングマップにあった「ここは日本か?」という煽り文句は誇大にしても、明らかに普通の道とは異なって「ここにこういう道を通そう」という意思がまずあり土地が造られ、そこに道が造られた感じ。いかにも人工的な土地。

よくこんな広大な土地を埋め立てたもんだ。

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干拓地を抜ける再び国道7号に合流。ここから国道7号を走れば最短距離で弘前から青森へと行けるのだが、敢えて海沿いの道を選んで101号線へ走って十二湖へ向かった。

AM11:30能代市に入る。イオンで防寒着とタオルケットを購入。昼食にラーメン。

日本海を眺めながら101号線を走り青森県入り。

快晴。美しい日本海。スラっと伸びる道路。全てが心地良い。

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PM3:00過ぎ、十二湖駅に到着。自転車を停め、バスで十二湖へ向かう。

十二湖は、青湖こそ青く鮮烈な印象が残ったが、他は…まぁ、凡庸な湖。正直、期待はずれ。観光客も多くて興冷め。(十二湖は白神山地世界遺産地域の外にあるらしいけど。海外にはもっと綺麗で、それでいて人も来ない湖がいくらでもあるよ?)

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バスで十二湖駅まで戻る。時間も時間なので、海岸沿いで今日の寝床探しを始める。

十二湖駅から線路を歩いて渡って、裏の松林を抜けると、防波堤の手前に芝生の一角があった。道路から隔てられていて、しかも人も全然来なそうな場所。完璧!

早速テントを張り、夕食支度にかかる。近くにコンビニがないので、この旅の中での初めての本格的な自炊。

メニューは「八森いさびり温泉 ハタハタ館」で買ったワカメ麺を鶏がらスープの素で合わせ塩コショウで味付けたスープと、同じく買った牛たんブロック、ご飯半合。旨い。

 

西日が沈んだ後の海を見ながら、タバコで一服。

誰もいない、孤独な満足感。頭の中で『into the wild』のテーマが流れる。

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・走行時間 3h36m48s

・走行距離 80.17km

・積算距離 406.9km

 

5日目

世界自然遺産白神山地の外れでの目覚め。(なんか贅沢)

空は晴れているが、適度に曇っていてちょうどよい気候。前日のテントの中は蒸し暑くて、裸で良いくらいの温度だった。青森と言えどもまだまだ夏だ。

 

101号線をJR五能線に沿いながら走る。

海岸沿いを走っていると、海にどんと鎮座した岩塊にむけ防波堤から一本舗装路が伸びる光景に出くわす。

防波堤側には「鎮座恵比寿神社」とあり、ここは「大岩海岸」という何ともそのままな名が付いているらしい。

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浅瀬の澄んだ海には、結構大きな魚やウミウシもいた。

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そこを進むと岩塊を一度貫いてトンネルになり、トンネルを抜けると階段が岩塊の裏から伸びていて上に登れるという仕組み。洒落た作りだ。

岩塊のてっぺんは海抜15mほどだろうか。深浦の海岸線、さらに遠くに津軽半島を望む。

気持ちよい朝だ。

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「道の駅 ふかうら」に寄って昼食の弁当を買う。ホタテや鮭、目玉焼きも入ってボリューム満点で330円。ありえない安さ!思わず2つ買ってしまいそうになる。

他にも色々海産物や加工品を直売していて、この道の駅かなり良い。

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更に101号線を走ると、「千畳敷海岸」という場所に出くわす。名の通り、小さな凹凸はもつけれどマクロ的に見れば非常に平らで、それが物凄く広大に続く岩場。

海底が隆起して形成されたそうで、中々有名な場所らしい。(太宰治の小説『津軽』の中でも描写されているそうな)

確かに圧巻で無二の光景。素晴らしかった。

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101号線を鰺ヶ沢あたりに来るとアップダウンが増えてきて、かなり体力を削られる。

途中、峠のてっぺんの道端にスイカ売りのお店をみつけた。通りすぎ様にちらっと目をやると"小玉スイカ 100円”の文字。

…安!

すぐに引き返し、一個購入。津軽弁訛りの店のおばさんに頼んでイスを出してもらい、端っこで食わせてもらう。

おばさんに話を聞くと「屏風山スイカ」というらしい。品種改良されたスーパーで買うスイカのようにメチャクチャに糖度が高いわけではない。(スイカらしいスイカ?)

ヘトヘトの体に水と糖が染みわたる。

…しかし、買ってから気づいたのだけれど、この小玉スイカでかい。半分喰った時点で腹はいっぱい。けれど、残すわけにもいかない。もう当分の間スイカはいいや…と思いながらなんとか完食。(店のおばさんは一人で食べきったことに驚いていた)

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39号線→31号線と進むと、しだいに道端に林檎畑が目につくようになってきた。そういえば、自分の中で茶畑・みかん畑・ぶどう畑というのはこれまで何度も見てきた記憶があるけれど、りんご畑は(メジャーな果物の割には)あまり見たことがなかった。

そして、2時間余のこの道程がなかなか体に堪えた。大きな道路と違って、一つの坂が短くとも非常に急なのだ。旅の疲労もかなり蓄積してきていた。

 

弘前中心部に入ったのはPM3:30頃。

弘前公園を軽く散策する。弘前城自体はとても小さいのだけれど、公園はとても広くて落ち着いた雰囲気がある。色白で聡明そうな白髪の老人がベンチで物思いにふけっていたり、溌剌とした老人方はソフトテニスに励んでいたり、様々。

街の中心にこういう広大で自由な自然の空間があるのは素晴らしいなぁ。それにしても、弘前の街はとてもコンパクトだ。よい街だと感じた。

 

この旅の中で初めてのホテル泊。昭和の雰囲気を残した通りの中にあるカプセルホテル「カプセルイン弘前」で一夜を過ごす。

チェックインすると、疲れがどっときた。精神的にもこの時は、かなり疲弊していた。

当初、翌日にバスで白神山地へ行くことを予定していたけれど、予定を変えた。明日は午前中いっぱいホテルで体を休めようと思った。

じょっぱり」のワンカップを飲んで倒れるように眠りに落ちた。

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・走行時間 4h58m10s

・走行距離 95.27km

・積算距離 502.2km

 

6日目

AM6:30目覚め。

ホテルの温泉につかって(3日ぶりの風呂)、カミソリでヒゲを剃り(6日ぶり)、風呂あがりに牛乳を飲むと、体が生き返った。(こういうクラシカルな行為の流れって大事なんだなぁ)

正午にチェックアウト。「一幸食堂」という店で昼食をとる。

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国道7号に能代市以来の再会。道路脇に表示する距離をみると、海岸沿い101号線を回ることで50km程度遠回りしてきたようだ。

積雪用に路側帯がとても広く、自転車には走りやすい道路が続く。ゆるやかで長いアップダウンはあるもののスイスイと進む。

 

PM3:30三内丸山遺跡に到着。日本史の始めに出てくる、かの有名な場所。三内丸山遺跡は積極的に見たかったというよりは、経験として見ておきたかった。

教科書で見た巨大な櫓。そばには巨大な茅葺屋根の集会所のような建物も復元されている。

住居に入った。暗く狭く屋根が近い。今テント生活をしているからか、なんだか縄文人に親近感が湧く。

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併設した資料館によると、縄文人三内丸山遺跡を中心として北海道や新潟の方まで交易をしていたらしい。新潟から青森の物理的な距離が、自分の辿ってきた道として実感を持って伝わる。地図を見て、「こんなに来たのか」と我ながら感動。

 

海岸沿いにある「合浦公園」にテントを張った。缶詰のタイカレーとご飯半合にフランクフルト一本+りんご一個の夕食。

 

静かな公園でゆっくり寝られるかとおもいきや、日が暮れてから近くでカップルがやってきて囁き合う。

さらにガキどもがやってきて、PM9:00近くまで延々と公園の中で爆竹を鳴らす。声変わりのしていない様子からして、小学校高学年~中学生だったろう。別に怖さはなかったが五月蝿かった。

けど仕方ない。都会の不良に比べたら、爆竹を鳴らして楽しむなんて田舎らしくて可愛いもんだ。

 

爆竹と波の音ととともに津軽の夜は更けた。

 

・走行時間 2h42m18s

・走行距離 52.09km

・積算距離 554.3km

 

4~6日目の行程